Try me? 「冗談じゃねぇ!」 ダンテは、憤慨した。 「アンタ、自分のしてること分かってんの?」 そして、もうウンザリだとばかりに頭を左右にふった。 「違う。もうすこしだけ時間を」 「もう待てるか!」 掴まれた腕のつよさに眉をしかめたときには、ソファーに 倒れ込むように折り重なっていた。 反撃を封じ込まれた両腕。脚に脚をからめて押さえつけられる。 「どれだけお預けくらわせりゃ、気が済むんだよ」 耳に吹きかけられた吐息の熱さに、腰が震えた。 欲望を隠さないささやきが、容赦なく、ねじ込まれる。 「アンタがほしくて、狂っちまいそうだ」 血を分けた兄弟-―それも双子。 禁忌の想いと、両親への責任感が、バージルの想いを縛りつけてきた。 それがふりほどけたのは、ほんの一ヶ月前。 ベッドに誘って来た弟に足蹴りを喰らわせて逃走したのも、ちょうど一ヶ月前。 「なぁ、いいだろう?」 口づけを求められて、顔を正反対に逸らす。 弟を受け入れないのには、理由がある。 ああ、いいさ。 間抜けだと、笑うがいい。 「むりだ」 のしかかってくるダンテの身体。ちょうど俺の膝のあたりに あるのは-―。 「無理だ!! 絶対に無理だ!」 双子だからこそ、想像したくないことまで想像できてしまう。 身体をつなぐということは、自分と同じであろうサイズのモノを 受け入れるということ。 半分は悪魔の身だって、ただでは済まないような気がする。 ダンテは、一瞬キョトンとする。 が、こちらの視線の先を追いかけると、すぐにおもわせぶりな顔になった。 「なるほどね」 憮然となって、唇をとがらす。 「・・・文句あるか」 「ねぇよ」 顔を鼻先に近づけてくると、にっと唇の端をつりあげた。 そして、安心させるかのように、軽口を叩く。 「大丈夫。オレのコレってクセになるらしいぜ?」 その言葉に、羞恥心が吹き飛んだ。 「バージル? なにす・・・うわぁッ!」 肩を突き飛ばすと、ダンテは簡単にソファーの肘掛けに倒れた。 当然、無重力になった身体の上に、マウント・ポジションで座り込む。 「どこの女だ」 クセになる・・・ということは、そう言った人間がいることに他ならない。 「はぁ? いきなりなにす・・・」 「言え。どこの女だ、男か?」 襟首を力任せに引き絞り、尋問する。 なのに、ダンテはときたら緊張感のかけらもない顔で、こちらを みているではないか。 おまけに、怒れば怒るほど、ニヤついた頬をますます緩ませる。 「ふざけてないで、吐け!」 「怒ってるアンタの顔って、そそるよな」 ついに、たまらない、といった表情になった。 「殺されたいのか」 射殺すような、視線で睨みつける。 なのに、ダンテは、悪びれずに言った。 「アンタの中でなら、何度でも?」 「貴様・・・」 どうやら、最初から狙っていたらしい。 あまりのご都合主義と強引さ。 本格的に芽生えてきた殺意で、目眩を起こしそうになった。 「かかって来な」 だが、ダンテは、おどけたそぶりで両腕を広げる。 (コイツ) ため息をつく。 しかし、ダンテには、かなわない。 禁断の想いも、義務感も、すべての垣根を吹き飛ばされる。 「クセになる味かどうか・・・」 太股をかけあがる、骨っぽい指。 誘いかけてくる、青い瞳。 なのに-―。 「試してみれば?」 頬に浮かんでいるのは、悪巧みする子供の微笑。
うお。たまには明るいアホERO話を・・・と思ったんですが、 |