[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
CANNOT STOP 2
昼は淑女、夜は娼婦。 そんな女が理想だっていったのは、どこのどいつだったっけ。 「-―っ・・・ぁッ」 身体を二つに折り曲げるようして、快楽をねじりこむ。 歓喜にうちふるえた声が上がり、つながった部分が、びくん、と熱くなった。 「このスケベ」 にやり、と笑いかけると、バージルは端に涙をためた目で睨みつけてきた。 が、それは一瞬のこと。 オレの下で絶え絶えになった息を吐き出しながら、すぐに誘ってくる青。 -―もっと、もっと欲しいのだ、と。 自分以外の存在には、虫けらのような視線を送るコイツが、だ。 これで止められる奴がいるなら、そいつは不能者だね。 オレの腰をはさんでいる太股を高くもちあげる。長い脚を首に絡ませ、 ささやく。 「なら、一緒に天国にイくかい?」 見下ろせば、半ば惚けたような顔。 -―昼は淑女で、夜は娼婦。 おまけにコッチの相性は、最高。 唯一の誤算は、コイツが男でオレの双子の兄貴ってことくらいだ。 もっとも、そんなのオレにとってはどうでもいいこと。 「んっ・・・ダンテッ。そこはっ」 「ハッ! ココがいいくせに」 濡れきった音が、響きわたる。 足首を力任せに掴み、律動を早めた。 普段の小難しい表情、眉間に皺をよせる怒った顔、厳しい剣士の顔。 そのどれもが快楽でどろどろに溶けていく。 この顔を見られただけで、罪悪感も喪失感もきれいに吹き飛ぶ。 「そろそろッ-―っ!」 目の前が、ゆっくりとフェードアウトしていく。 だが-―。 「ふっ、アぁ!・・・あぁ!! んっ! ・・・ダ、ンテェ」 オレは、許せない。 逝く、さいごのさいごの瞬間。 バージルの青に、後悔の影がよぎるのを。 逃げるのなら、つなぎ止めてやる。 無我夢中で、手のひらにオレのそれを重ねる。震える指の一本一本を 絡み合わせ、握りしめる。 そして-―。 快楽の塔の頂上から、まっかさまにダイブした。 *** バージルは、やはり難しそうな顔をしていた。 目を見開くと、至近距離でそんな表情を浮かべたまま、オレの寝顔を 見つめていた。 「・・・いい加減にしてくれ」 夢中でつなぎとめた結果が、これか。 こんなときにタバコの一本でもあれば、気持ちがもっと晴れただろう。 コイツが嫌うからすっぱり止めたのを、少しだけ後悔した。 「一生、そこでにらめっこでもしてな」 衝動から始まった行為とは、つまるところこんなものなのかもしれない。 だが、もっともやっかいなのは-―。 こんな顔をされても、この男と離れたくない自分だ。 (やれやれ) やりきれない気持ちを洗い流そうと、ベッドから身を滑らす。 「待て、ダンテ」 ふいに、腕を引っ張られた。 「なんだよ」 振り払おうようにして、身体をむける。 そこには、青い顔をしたバージルが立ちつくしていた。 唇を、ほんの少しだけ尖らせている。 オレにしか分からない表情。 (考えてみれば-―) 規律と秩序の中で生きてきたバージルの苦しみは、どれくらいなのか。 多分、この関係になるにはオレ以上の葛藤があっただろう。 この関係を悔やむのだけは許せない。 だけど-―。 義務だの責任感があっても、オレのことが欲しくてたまらないのなら-―。 動物みたいな欲望が、コイツの理性を上回るのなら-―。 「オレが欲しいんだな?」 念を押すと、バージルは目を閉じ、天を仰いだ。 「・・・ああ。どうしようもなく」 固く結んだ唇の間から、うめくような、つぶやき。 「いいぜ」 向かい合わせになった肌は、しっとりと汗を含んだまま。 快楽の埋み火は、まだ冷めていない。 試すように奴の瞳を見つめながら、誘惑する。 「カラダで証明してみろよ」 オレの腕を掴む腕が、かすかに身じろいだ。 いい眺めだ。 奴の理性と道徳心が、せめぎあっている。 だから、わざとらしいほどに、甘えた声でねだってやった。 「頼むぜ、オニイチャン」 -―いくつ罪を重ねれば、いいのだろう。 いくつ罪を重ねても、この気持ちは止められないのだろうか。 「ケモノみたいなアンタを見せてくれよ?」 -―矛盾しながら、オレたちはまた罪を重ねる。
夏がきたので、ハルの理性もどんどんぶっとんでいきました。 |