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CANNOT STOP 2




 昼は淑女、夜は娼婦。
そんな女が理想だっていったのは、どこのどいつだったっけ。
「-―っ・・・ぁッ」
 身体を二つに折り曲げるようして、快楽をねじりこむ。
 歓喜にうちふるえた声が上がり、つながった部分が、びくん、と熱くなった。
「このスケベ」
 にやり、と笑いかけると、バージルは端に涙をためた目で睨みつけてきた。
 が、それは一瞬のこと。
 オレの下で絶え絶えになった息を吐き出しながら、すぐに誘ってくる青。
-―もっと、もっと欲しいのだ、と。
 自分以外の存在には、虫けらのような視線を送るコイツが、だ。
 これで止められる奴がいるなら、そいつは不能者だね。
 オレの腰をはさんでいる太股を高くもちあげる。長い脚を首に絡ませ、
ささやく。
「なら、一緒に天国にイくかい?」
 見下ろせば、半ば惚けたような顔。
-―昼は淑女で、夜は娼婦。
 おまけにコッチの相性は、最高。 
唯一の誤算は、コイツが男でオレの双子の兄貴ってことくらいだ。
 もっとも、そんなのオレにとってはどうでもいいこと。
「んっ・・・ダンテッ。そこはっ」
「ハッ! ココがいいくせに」
 濡れきった音が、響きわたる。
 足首を力任せに掴み、律動を早めた。
 普段の小難しい表情、眉間に皺をよせる怒った顔、厳しい剣士の顔。
そのどれもが快楽でどろどろに溶けていく。
 この顔を見られただけで、罪悪感も喪失感もきれいに吹き飛ぶ。
「そろそろッ-―っ!」
 目の前が、ゆっくりとフェードアウトしていく。
 だが-―。
「ふっ、アぁ!・・・あぁ!! んっ! ・・・ダ、ンテェ」
 オレは、許せない。
 逝く、さいごのさいごの瞬間。
 バージルの青に、後悔の影がよぎるのを。
 逃げるのなら、つなぎ止めてやる。
 無我夢中で、手のひらにオレのそれを重ねる。震える指の一本一本を
絡み合わせ、握りしめる。
 そして-―。
 快楽の塔の頂上から、まっかさまにダイブした。



***




 バージルは、やはり難しそうな顔をしていた。
 目を見開くと、至近距離でそんな表情を浮かべたまま、オレの寝顔を
見つめていた。
「・・・いい加減にしてくれ」
 夢中でつなぎとめた結果が、これか。 
 こんなときにタバコの一本でもあれば、気持ちがもっと晴れただろう。
コイツが嫌うからすっぱり止めたのを、少しだけ後悔した。
「一生、そこでにらめっこでもしてな」 
 衝動から始まった行為とは、つまるところこんなものなのかもしれない。 
 だが、もっともやっかいなのは-―。
 こんな顔をされても、この男と離れたくない自分だ。
(やれやれ)
 やりきれない気持ちを洗い流そうと、ベッドから身を滑らす。
「待て、ダンテ」
 ふいに、腕を引っ張られた。
「なんだよ」
 振り払おうようにして、身体をむける。
 そこには、青い顔をしたバージルが立ちつくしていた。
 唇を、ほんの少しだけ尖らせている。
 オレにしか分からない表情。
(考えてみれば-―)
 規律と秩序の中で生きてきたバージルの苦しみは、どれくらいなのか。
多分、この関係になるにはオレ以上の葛藤があっただろう。
 この関係を悔やむのだけは許せない。  
 だけど-―。
 義務だの責任感があっても、オレのことが欲しくてたまらないのなら-―。
 動物みたいな欲望が、コイツの理性を上回るのなら-―。
「オレが欲しいんだな?」
 念を押すと、バージルは目を閉じ、天を仰いだ。
「・・・ああ。どうしようもなく」
 固く結んだ唇の間から、うめくような、つぶやき。
「いいぜ」
 向かい合わせになった肌は、しっとりと汗を含んだまま。
快楽の埋み火は、まだ冷めていない。
 試すように奴の瞳を見つめながら、誘惑する。
「カラダで証明してみろよ」
 オレの腕を掴む腕が、かすかに身じろいだ。
 いい眺めだ。 
 奴の理性と道徳心が、せめぎあっている。
 だから、わざとらしいほどに、甘えた声でねだってやった。
「頼むぜ、オニイチャン」
-―いくつ罪を重ねれば、いいのだろう。
 いくつ罪を重ねても、この気持ちは止められないのだろうか。
「ケモノみたいなアンタを見せてくれよ?」
 -―矛盾しながら、オレたちはまた罪を重ねる。












<あとがき>

夏がきたので、ハルの理性もどんどんぶっとんでいきました。
ビバ、理性の限界値突破!!(笑)

よそさまからすればたいしたことなくとも、わての中では
かなりやっちゃってる感があるんですが、どうでしょう?軍曹殿ォォー!!(だから誰)

どうでもいいですが、ぶっ壊れちゃったオニイチャンが見たいです!!
どなたかぜひ書いてください。
ワシには無理ですから!!切腹ですから!

暴走兄・・・「BINGO!!」とか叫んでそうですね(笑)

読んでくださって、ありがとうございました!

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